マンスリーレポート(2025年5月) - エニグマ1号ファンド
マーケット概況
5月の日経平均は、月初から徐々に米中貿易戦争緩和の期待が高まり上昇し、12日に米中閣僚級協議にて関税率を115%引き下げと発表されると、更に上昇した。しかし、その後、米トランプ大統領がEUへ50%の相互関税発動を警告した直後に延期したり、また米国際貿易裁判所が、米大統領が発動した関税の大部分を差し止めたが、翌日には米控訴裁判所が復活させる判断を下したりと、依然として米関税政策を巡る不透明感は大きい。
序盤は、1日の日銀会合で政策金利の据え置きと25、26年度の実質国内総生産(GDP)や生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率を下方修正すると、日銀が追加利上げに慎重と判断され、為替市場で1ドル=145円台まで円安になったことや、米国が中国に対し関税協議を働き掛けているとの報道を受け、米中貿易戦争緩和の期待の高まりが相まって株価は上昇トレンドとなった。更に12日夕刻に米中間の関税率115%引き下げが発表されると、13日に株価は38,000円を大きく超える水準まで上昇した。
中盤においては、TOPIXが13日続伸(2009年8月以来)し、日経平均も心理的な節目の38,000円を突破したことから、利益確定目的の売りが優勢となった。また日米財務相会談で米国から円安・ドル高の是正を求められるとの観測から、為替市場で一時1ドル=143円台と円高・ドル安に振れたことや、米大手格付け会社の米国債格下げを受けた米国債利回りの上昇による米株安も相まって、22日には37,000円を切るまで下落した。
しかし終盤において、米大統領がEUへ50%の相互関税発動を警告したが、直後の26日に延期したことで世界的な貿易摩擦の緩和の期待感が再度高まり、株価は再び上昇トレンドとなった。更に米国際貿易裁判所が、米大統領が発動した関税の大部分を差し止めたことで、29日には株価は38,500円近辺まで急騰した。しかし、翌日早朝に、逆に米控訴裁判所が関税を復活させる判断を下したことで、株価は一転下落し、最終的に5月は37,900円台で終えた。
月次でみると日経平均は+5.3%、TOPIXは+5.0%と大幅に上昇した。
当月のポジション推移及びパフォーマンス
序盤は、4/30(水)の低調な4月中国製造業景況感、5/1(木)の日銀会合での政策金利据え置き決定、及び25・26年度の経済成長率と物価上昇率の見通し下方修正等を踏まえ、5/1、ファンドポジションについて、買いから売りに変更し、レバレッジを0.75倍から0.25倍に縮小しました。
また、5/7(水)発表の中国人民銀行による預金準備率0.5%引き下げ、及び5/8(木)未明の米連邦公開市場委員会での政策金利据え置き決定等を踏まえ、5/8、ファンドポジションについて、売りを維持し、レバレッジを0.25倍から1倍に拡大しました。
その後、5/12(月)の米中間の関税率115%引き下げ合意等を踏まえ、同日夜間、ファンドポジションについて、売りを維持し、レバレッジを1倍から0.5倍に縮小しました。
中盤は、5/17(土)早朝に米格付会社ムーディーズが米国債の長期信用格付けを最上位のAaaから1段階引き下げたこと、及びほぼ出揃った日本企業(3月期決算企業)の25年度純利益予想が減益となったこと等を受け、5/20、ファンドポジションについて、売りを維持し、レバレッジを0.5倍から0.625倍に拡大しました。
終盤には、5/22(木)夕方に公表された5月ユーロ圏景況感の市場予想に反した前月からの低下、5/23(金)夜、米大統領が、EUが貿易交渉で譲歩しない場合に50%の追加関税を発動すると警告したものの、5/26(月)朝には、7/9まで発動を延期すると表明しました。これらを踏まえ、5/23夜間から5/26にかけて、ファンドポジションについて、売りを維持し、レバレッジを0.625倍から0.375倍に縮小しました。
また、5/27(火)夜、5月米消費者信頼感指数が前月から急回復したこと、5/29(木)朝、米国際貿易裁判所が米大統領の発動した関税の大部分を差し止め、これに対し米政権側が即日控訴したこと等を踏まえ、5/29、ファンドポジションについて、売りを維持し、レバレッジを0.375倍から0.06倍に縮小しました。
その後、5/29(木)に海外投資家による8週連続の日本株買い越しが確認されたこと等を踏まえ、5/30、ファンドポジションについて、売りから買いに変更し、レバレッジを0.06倍から0.375倍に拡大しました。
結果として月次トータル・リターンは▲2.53%となりました。今月は、米トランプ大統領の関税に対する二転三転した急な政策変更に振り回されてしまいましたが、引き続き米国と各国の貿易協議の内容や関税を巡る時限的措置等の動向を注視しながら、適切なリスク管理を念頭に、安定したリターンを獲得する運用をおこなっていく所存でおります。

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